ひっかかりごと。

日常生活で引っかかったことを綴ります。

私が日本に「帰りたくなる」理由

最近、私が日本に帰りたいと思う気持ちは、ちょうど日本で暮らしていた頃「フランスに行きたい」と思っていた気持ちとほとんど同じだと気がついた。要は、「今ここでないどこかに行きたいと思う」気持ちなのだ。日本に憧れる外国人と同じ心情なのである。フランスは私にとって日常なので、今は非日常の日本という場所に憧れている。

日本にいた頃はフランス関連の本を読んだりアートに浸ったりしていたのだが、今は専ら日本やアジアの文化に傾倒している。最近読んだ岡倉天心の『茶の本』はとても良かった。電車内で読んでいたのだが、あまりに良すぎて降り過ごしてしまった程だ。

特に、豊臣秀吉の暗殺疑惑をかけられて自害を迫られた、千利休の最後の茶会が素晴らしかった。桜の花が喜んで散っていくように、利休さんも取り乱すことなくにっこり微笑みながらこの世を去った。儚いもの、消えていくものこそが美しいのだ。その美意識の高さに、感服せずにはいられない。

自然と共に生きる、自然に対する畏怖の気持ち、瑣末なことも丁寧に行うなど、茶道の精神の背景となる東洋の思想は本当に素晴らしいと思う(老荘思想やインドの哲学、仏教など)。こういう文化背景で育つことができて、私は本当に幸せだなと感じる。

日本にいた頃は日本の良さにあまり気が付かなかったが、海外で暮らしてみるとその素晴らしさにはっとする。中国やインドの古の文化を保存し洗練させたのは、他でもなく日本であると天心さんも言っていた。日本は多文化を吸収し、独自に発展させることに優れている国だ。筆記用具なんかも日本人が改良したものは本当に使いやすいし。

「無宗教」だとか言われるけど、仏教や八百万の神の考え方が色濃く反映されている日本の文化が好きだ。トイレにも神様がいるなんて素敵すぎる。(こっちのトイレには神様なんていやしないから、かなり残念なことになっている・・・)

とにかく、知れば知るほど日本や東洋の思想が好きになっていく。謙虚で質素で己を知っている。古来からのアジアの思想は、そんな気高いものなのだ。

某国の大統領になる人は、そんな考え方がこの世に存在しているなんてきっと夢にも思っていないんだろうな。世界中の人が仏教を実践すれば絶対に平和になると思うんだけどなあ・・・。私的には、仏教は宗教ではなく「生き方指南」や心理学だと思っている。だって、そもそも仏陀は神ではなく「悟った人」なのだし。

私自身はまだまだ煩悩にまみれているけど、何があっても心穏やかに生きられるよう、天心さん言うところの「茶の精神Teaism」を大切にしていきたい。